住宅ローンを借り換えたとき。「住宅ローン控除」を引き続き受ける場合の注意点。
確定申告シーズン真っ只中。
私自身も今日、確定申告を無事に終え、ひと安心したところです。
しかし仕事では、たくさんの方の確定申告に携わっていて、
まだまだ忙しさは続いてます(*´Д`)
書類の不備等でスグに申告できない場合が結構あるのですが、その中でも今年は特に、住宅ローンを借り換えた方に追加書類をお願いしている気がします。
住宅ローンの金利が低かった昨年は、借り換えをされた方が多かったのでしょう。
先日、日銀総裁に黒田氏が再任され、金融緩和政策を続けるとのことでした。
ということは、住宅ローンの低金利もしばらくは続くのでしょうか?
これから借り換えを検討される方も、多いと思われます。
「住宅借入金等特別控除」
いわゆる「住宅ローン控除」を利用している方が住宅ローンを借り換えた場合は、確定申告(給与所得者の場合年末調整)に要注意です。
場合によっては、いつもの年とは違う書類が必要になります。
なにかと手間がかかる確定申告だけど、
事前に確認しておくことで、格段にスムーズに終わらせることが出来ますよ(*'▽')
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)
そもそも「住宅ローン控除」とは、
住宅ローンを利用して住宅を購入したときに、一定の要件を満たせば受けられる、所得税の税額控除です。
その要件とは、新築の場合。
・住宅取得後6か月以内に入居し、引き続き住んでいること。
・登記簿での床面積が50㎡以上
(不動産やさんの売買時の図面での面積とは異なるので注意!)
・控除を受ける年の所得金額が3,000万円以下であること
(収入ではなく、所得です!)
・民間の金融機関や住宅金融支援機構などの住宅ローンを、返済期間10年以上で分割で返済していること。
(頑張って10年未満でローンを組んでしまうと利用できないので注意!)
中古住宅の場合はさらに築年数が20年以内(マンション等の耐火建築物は25年)や、耐震基準を満たしているかが問われます。
ちなみに私自身は面積等の条件を満たさず、控除を受けられません。
つらい…(*´Д`)
要件を満たしていれば「住宅ローン控除」を受けられますが、
控除を受けるためには、確定申告をする必要があります。
確定申告時には、以下4点の書類も忘れずに添付しましょう。
1. 不動産の売買契約書の写し等
(取得年月日・床面積・取得価額がわかるもの)
2. 住民票
3. 登記簿謄本(原本)
4. 住宅借入金の年末残高証明書
いろいろと揃える手間はありますが、これをクリアすれば以降10年間、「住宅ローン控除」という税額控除が受けられます。
給与所得者の人も、控除を受ける最初の年は確定申告が必要ですが、2年目からは会社の年末調整で控除が受けられます。
慣れない作業で大変だけど、ここはぜひ頑張って下さい( `ー´)ノ
住宅ローン借り換え後の返済期間
住宅ローンを金利の低い住宅ローン等に借換えをした場合も、次の2つの要件を満たせば引き続き「住宅ローン控除」を受けられます。
1. 新しい住宅ローン等が当初の住宅ローン等の返済のためのものであることが明らかであること。
2. 新しい住宅ローン等が10年以上の償還期間であることなど住宅借入金等特別控除の対象となる要件に当てはまること。
おそらく気を付けないといけないのは、住宅ローンの返済期間。
「頑張って返済期間も短くするぞ!」と10年未満でローンを組んでしまうと、「住宅ローン控除」を受けられなくなってしまいます。
例えば、すでに5年間控除を受けていた人が、新しい住宅ローンを返済期間10年以上で組めば引き続き5年間は「住宅ローン控除」を受けられます。
だけど返済期間9年で組んでしまうと、その年から「住宅ローン控除」は受けられなくなってしまいます。
たった1年で大きく変わってしまう(>_<)
借入返済期間を短くする事で減らせる利息と、「住宅ローン控除」を受けられる額。
どちらの方がメリットがあるか、借り換え時には比較しなければですね。
「借り換え前の住宅ローン残高」と「新しい借入金額」どっちが多いか?
さてようやく本題(笑)
私が切にお願いしたいのはここなんです。
「借り換え前の住宅ローン」の「借り換え直前の残高」
これが分かる書類を出して欲しい~!
新しい住宅ローンに借り換えた時、前の住宅ローンの借入金残高を一括返済しますよね。
それ!その金額が知りたいっ(>_<)
というのも、
「住宅ローン控除」の対象となる年末残高=借り換えた新しい住宅ローンの年末残高ではない場合があるからです。
No.1233 住宅ローン等の借換えをしたとき|所得税|国税庁
借換えによる新たな住宅ローン等が住宅借入金等特別控除の対象となる場合には、次の金額が控除の対象となる住宅ローン等の年末残高となります。
1) A≧Bの場合
対象額=C
2) A<Bの場合
対象額=C×A/B
A =借換え直前における当初の住宅ローン等の残高
B =借換えによる新たな住宅ローン等の借入時の金額
C =借換えによる新たな住宅ローン等の年末残高
AとかBだと分かりにくい。具体例で考えてみます。
平成29年2月末、A銀行からB銀行へ住宅ローンを借り換えた。
【ケース1】
A銀行の借入金残高は最終1,200万円だった。
B銀行で新しく借入れた金額も1,200万円。
B銀行へは平成29年3月から、毎月8万円ずつ返済しており、
平成29年の借入金年末残高証明書の額は1,120万円。
この場合はA≧Bなので
控除の対象となる住宅ローン等の年末残高(C)は、1,120万円。
B銀行の借入金年末残高証明書の金額が、そのまま控除対象です。
【ケース2】
A銀行の借入金残高は最終1,200万円だった。
B銀行で新しく借入れた金額は1,600万円。
B銀行へは平成29年3月から、毎月8万円ずつ返済しており、
平成29年の年末借入金残高は1,520万円。
この場合は、A銀行での借入金残高1,200万円よりも、借り換え後のB銀行での借入金が400万円多くなっています。
A<B となるので、
1,520万円(C)× 1,200万円(A)/1,600万円(B)=1,140万円。
B銀行の借入金年末残高証明書の金額1,520万円が、そのまま控除対象とはなりません(>_<)
住宅借入金等特別控除額の計算式は
住宅ローン等の年末残高×1%
※居住を開始した年が平成21年以降の場合。
(居住開始の年によって掛ける割合と最高控除額が変わります)
借り換え後のB銀行の借入金年末残高証明書の額、
1,520万円で控除額を計算してしまうと 15万2千円となってしまいますが、
正しい控除額は、1,140万円×1%=11万4千円です。
2年目以降の「住宅ローン控除」を受けるのに必要なのは、
金融機関から送付されてくる「住宅借入金等の年末残高証明書」。
給与所得者の場合は、税務署から送付されてくる「住宅借入金等控除証明書」も年末調整時に会社に提出すれば住宅ローンを受けられます。
(住宅借入金等控除証明書」は9年分まとめて送られて来るので、失くさないよう注意!)
だけど住宅ローンを、借り換え前よりも多い金額で新しく借り換えをした場合は、加えて「当初の住宅ローン等の借り換え直前の残高」がわかる書類も保管しておいて下さい。
書類自体を税務署へ提出するわけではないのですが、計算するのに必要なんです(>_<)
知られてないのかなぁ。みんな出してくれない…
でも、あとから税務署に指摘されると余計大変な作業になってしまうと思うので、ここはしっかりと確認したいところです。
一年に一度の作業。忘れますよね…?
世の中ペーパーレス化が進んでいるといっても、まだまだ紙ベースな確定申告業務。
うっかり捨てちゃった、失くしちゃったなんてこともあります。
再発行してもらうには、時間も手間もかかりますし、精神的にもダメージをうけかねません。
必要書類は事前に確認して、申告時期まで一か所に集めておくようにすることをおススメします。
というか、お願いします(笑)
一年に一度なので、申告書の作成方法も忘れてたりして、意外と時間がかかってしまうんですよね…
平成29年分確定申告の提出期間は平成30年3月15日(木)までとなっています。
未だの方は、お早めに (-_-;)
これ効くんかなぁ。気になる年頃です…
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